プレイリスト：エレンディラの骨には
《Symphony No. 7 in A Major, Op. 92 II. Allegretto》ベートーヴェン/レナード・バーンスタイン指揮
Ludwig van Beethoven（ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン1770 1827）
古典派音楽の終焉とロマン派の目覚めを体現する作曲家として、しばしば紹介される。中年期以降、聴力を失っていく過程で作曲技法が大きく変化、開花していった。
Leonard Bernstein（レナード・バーンスタイン 1918-1990）
米国初の国際的指揮者として知られる指揮者、作曲家。バーンスタイン以前は、クラシックといえばヨーロッパが本場とされたが、彼の登場により米国の芸術音楽が新たな境地に至った。史上初めてニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団の音楽監督に就任し、辞任後は各国の有名交響楽団を客演として渡り歩いた。
小澤征爾や佐渡裕といった日本人の有名指揮者を弟子として輩出。
《DNA》Ludovico Einaudi (ルドヴィコ・エイナウディ)
Ludovico Einaudi（ルドヴィコ・エイナウディ 1955-）
イタリア、トリノ出身の音楽家、イタリア政府音楽大使を務める。祖父は第二代大統領、父は出版社創設と名門。現代作曲家として新たな技法を確立したルチアーノ・ベリオに師事し、ミニマルで耳馴染みのよい音楽作品を多数作曲している。フランス映画「最強のふたり（2011年）」など映画音楽の作曲家としても有名。
《Wild Horses [Remastered]》ザ・ローリング・ストーンズ
The Rolling Stones（ザ・ローリング・ストーンズ）
1962年から活動を続けるイギリス出身の世界的ロックバンド。ビートルズと同時期に活動を始めているが、1度も解散したことがない（メンバーの入れ替えやソロ活動はあり）。ミック・ジャガーとキース・リチャーズは幼馴染だというから、その腐れ縁の長さたるや目をみはるものがある。
忌野清志郎がカバーした《Paint it Black（黒くぬれ！）》は元曲もカバー曲も美しい。
疲労感ポイント
1曲目は、アップルミュージック内でもたくさんの録音があります。いくつか聴きましたが、テンポ感と音のまとまりが好みだったバーンスタインを。
交響曲なので長くはありますが、この作品はターセム・シンが構想を温め続けて完成させた映画「The Fall- 落下の王国 -」で効果的に使われていたり、いくつか映画に登場しているので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2曲目も、近頃よく映画音楽に登場するエイナウディの作品です。生徒さんもエイナウディ好きな方が多いです。久石譲的な親しみやすい旋律の美しさと、プリミティブな響きを併せ持っているのですが、ここまでシンプルに音をつなげることってなかなかできないよな〜と思って調べたら、ルチアーノ・ベリオ（イタリアの現代音楽界における巨匠）に師事、との経歴を見つけてのけぞった記憶があります。特にフランスで大ヒットした「最強のふたり」の劇中曲が有名ですが、ドキュメンタリー映画「ノーマ 世界を変える料理」にも採用されています。厨房は戦場といいますが、このドキュメンタリーも例外ではありませんでした。エイナウディのあの繰り返されるフレーズが、緊迫感をうみだしています。
3曲目はストーンズ。Amazon Musicに入っていないという理由で仕方なく疲労満載曲としては次点の《Wild Horses》を挙げていますが、実はミック・ジャガーではなく、キース・リチャーズが歌っている《This Place Is Empty》が好きです。キース・リチャーズの渋い歌声のせいか、まさに「ガラスの粉が詰まっていて疲れがとれない」状態の歌だといつも思ってしまいます。もっともストーンズのご当人たちはそんな感じではないみたいですが！ビートルズと同時期に活躍していまだに現役ですからね。
今回のプレイリストは、ガルシア・マルケスの小説「エレンディラ」にある一節をイメージしています。搾取され続ける半生を送るエレンディラが歩き疲れてこぼす、「骨にガラスの粉が入っているみたい」という台詞。なんと詩的で、なおかつ共感しやすいフレーズなのかと、初めて読んだ時から深い衝撃がありました。
気になるけれどAmazon Primeには入ってない！という方は、曲名とアーティスト名で検索してみてくださいね。
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