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奨学金を利用して芸術を学ぶ|音楽を学び続けた、その後の進路

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私は、奨学金を借りて、ピアノの技術と芸術学を学びました。

大学と大学院とで貸与を受け、修了後に細々と返還してきましたが、この春に完済できそうです。

返還回数の残りがあと3回というところまできたので、「奨学金は本当に必要だったか」、「借りて後悔していないか」を振り返ってまとめてみようと思い立ちました。

奨学金は、目標のための選択

一般的に、音大(音楽大学)は裕福な家庭が進学するものと思われがちかもしれません。

しかし、当時は今ほど大学の学費は高くなく、「割高ではあるがどうにかなる」という位置づけでした。

とはいえ、割高ではあるので、高校はなるべくお金のかからない県立へ進学、自宅から通える範囲で大学選びをしました。

現在は、リベラルアーツの観点から芸術や音楽を広く学べる学部はたくさんあるので、実技にこだわらなければいくつかの大学が選択肢に上がったかもしれません。

ですが、当時は、ピアノの実技と他分野を含めた芸術を横断的に学べる大学は、日本大学芸術学部(日藝)くらいしかありませんでした。

他の音大と比較すると学費が若干安かったことも記憶しています。学部の特徴と、見学に行った時の独特な空気が気に入って、中学生の頃からここに入学したいと強く希望するようになりました。

すこし前、「奨学金が返済できずに生活苦」というニュースが話題になった時、「奨学金を借りて大学に行くのは、そもそも身の丈にあっていない」といった意見を見かけたことがありました。

確かに、大卒という身分を手に入れるためだけに奨学金を使うなら、その意見も一理あるのかもしれません。

ですが、私の場合は小さな頃から漠然と「大学で自分が大好きなことを学びたい」という気持ちがありました。

大学で学び、大学院までとことん突き進みたい!というのが、当時の目標のひとつでした。

そういった意味で、奨学金は私にとって将来の夢を叶えるための初期投資であり、希望を叶えるためには不可欠なものでした。

入学すると、同じように奨学金を借りている同級生、先輩も多くいました。

大学院に進んでからはさらにその割合が増えました。

実技のある大学は、勉強のほかに練習時間を確保する必要があります。

実技試験は、欠席したり失敗したりすると即留年が決定してしまう科目もあります。

このような生活をしているとアルバイトを長時間行うのは難しいので、普通の家庭出身の私たちにとって、奨学金はなくてはならない存在でした。

大学院時代に借りていた奨学金が条件つきで一部返還免除となった時は、頑張りが報われたようでほっとしたのを覚えています。

後悔しない道は、自分でつくる

私が育った時代は、「いい学校を出て、いい会社に入って、結婚し家庭を作る=成功」という空気が残っていました。

ただ、祖父母は戦中戦後を若者として過ごし、父方母方ともども事業で苦労した経験があります。

そのため、

どれだけ順調に進んだとしても、人生は先がどうなるか誰も分からない。やりたいことがあるなら、多少苦労してもそれを貫く方が後悔しない」

という考えをもっており、私もその価値観にふれながら成長しました。

大学の同窓生の中には、家族中の反対を押し切って進学してきたという人もいましたが、その点において私は恵まれた環境にいました。

恵まれていて、応援は心強いものでしたが、先立つものは心許ないので奨学金は借りました。

あくまで私個人の場合ではありますが、その判断は正しいものだったと思っています。

たいへんなこともありましたが、大学・大学院での学びの時間は、苦労より多くのよりよいことをもたらしてくれたからです。

返還と仕事について

修了後の返還額も、はじめの設定は少額でした。

途中で繰り上げ返済も検討しましたが、この時は父母から「人生この先どうなるか」理論に基づく助言を得て少しずつ返還し、現在に至ります。

奨学金は民間のローンと比べて、圧倒的に低金利であることはよく知られています。

一方で、急に大きなお金が必要になる局面は待ってくれません。

家族が数回大病をしていることもあり、父母は低金利を最大限活かして、備えをしながら堅実に返還をするよう薦めました。

個人事業主は収入に幅があるため、この助言は本当に役に立ちました。

私は、音楽教室をひらいた時から、並行して在宅の仕事もいくつか続けています。

教室の生徒数が少ない時は別の仕事依頼が増える、生徒数が多い時は別の仕事が落ち着くという、不思議かつありがたいバランスのもと、約18年が経過しました。

その間には本当にいろいろなことがありましたが、音楽を続けたからこそ頑張ることができて、自分なりに精一杯頑張ってきたからこそ、音楽がかたわらにあり続けるのだと思います。

奨学金貸与を受けて進学し、今も音楽で生きている個人として、後悔なく完済の日を迎えられてほっとしています。

これからも、学んだことをよりよく活かすべく小さな努力を続けていけたらと思います。