Whereby(ウェアバイ)は、ノルウェー発のオンライン会議サービス。
チャットルームのURLを送るだけで相手とやりとりできるツールで、生徒さんがWherebyに会員登録しなくてもオンラインレッスンができます。
緊急事態宣言後、私は対面レッスンの代替としてWherebyを使いはじめました。一ヶ月ほど活用して感じたことを備忘録としてまとめたのですが、その反応として
・使ってみたけど画面共有ができなかった
・Wherebyでの画面共有方法が分からない
というお声をきくようになりました。
なので、「Wherebyで画面共有する方法」と、画面共有するとどんなことができるか、について先生向けのメモを書いておこうと思います。
Wherebyはブラウザ完結型:ネーミングとデザインも手軽さをアピール
Wherebyの意味は、「それによって」と辞書に載っていますが、実はネイティブの方もあまり使わない古典的な関係副詞だそうです。
関係副詞の例
France is the country where I used to live.
(フランスはかつて住んでいた国です。)
この関係副詞を
場所を表すWhere
手段を表すBy
というように分けて、「場所を選ばずに活動するための手段」という意味を込めたとか。
関係副詞は文法的にややグレードの高い表現ですが、WhereとByになると途端に親しみやすく感じますね。
また、初見で「これって本当に会議ツールなの?」とびっくりしたおしゃれなビジュアルも、「Whereby」というサービスの手軽さや自由度を表すための戦略なのだそう。フランスのイラストレーターが手がけたとのことです。
こうした情報の参考にさせてもらったWhereby公式noteの骨子は、とにかくオンラインで気軽に人が対話できる社会の実現でした。
ユーザーから新しい使い方を発信するのも歓迎とのことで、今後、さらに便利な使い方が世界のいろいろなところでシェアされていくのかもしれません。
PCのみ:Wherebyの画面共有方法
自分の見ているPDFや写真、検索画面をWherebyで会話している相手とシェアしたい、そんな時に使うのが「Share」ボタンです。左から3つめ、PC画面のようなアイコンが目印。
ボタンを押すと、新しく次のようなウィンドウがあらわれるので、好きな画面を選んで右下の「共有」をクリックしてください。
PCの画面共有は無償版でも問題や制限なく使用できます。
なお、共有をやめたい時は画面下部に出る「共有を停止」ボタンをクリックしてください。
現状、スマホからは画面共有できない
現在(2020年5月)のところ、Wherebyの画面共有機能はPCからのみおこなえる操作です。スマホでは、メニューボタンが4つしかありません。
LINEは、アップデートによって「画面シェア」という共有機能が実装されました。Wherebyも今後、アップデートや仕様変更などでできるようになるかも?
Wherebyの画面共有、レッスンでの活用方法
では、Wherebyの画面共有機能はレッスンのどのような場面で役立つのでしょうか?
私が使っているシーンは、次のようなものです。
PDF化した楽譜を共有して見ながら確認
共有画面で見ながら強弱などのアーティキュレーションをチェックするには、共有画面でPDFを一緒に見るのが便利です。吹奏楽やオーケストラでは小節番号で箇所をチェックしますが、ピアノの教本は小節番号がないものも。そういう時には、実際の楽譜を画面で見られるとレッスンがスムーズに進みます。
Keynote(Windowsならパワーポイント)を使って画面上で楽譜に書き込みしながら指導するのも、共有画面だとかんたんです。
YouTubeをシェアしてお手本動画や参考動画をチェック
YouTubeでは、プロの演奏家動画のほかにもさまざまなパフォーマンスを見ることができます。
ピアノの先生が学習用にゆっくりめのテンポで弾いていたり、生徒さんと同じくらいの年頃のお子さんが演奏していたり。レッスンの進み具合によっては、それらの動画を参考として一緒に視聴して、自分の弾き方をふりかえってもらうこともしています。
DTM画面を共有して合奏練習
前の記事にも書きましたが、現状、オンラインレッスンでは連弾や合奏がうまくいきません。音の遅延が発生するからです。
しかし、あらかじめ講師が音源を準備しておき、それを画面共有で流すようにすれば連弾や合奏をすることができます。
講師側には遅れて聴こえるのでディテールを仕上げるのは別の工夫が必要ですが、連弾に慣れる練習や、およそのテンポ感を習得する、つまづいてしまう箇所を発見するにはかなり有効に使えます。
なお、音楽制作ソフトには初心者向けからプロが使っているツール、楽譜制作に特化したものなどさまざまありますが、私はオンラインレッスンでは手軽につなげるGarage Bandを使っています。
Wherebyで足りない部分はメールやLINEを併用
Wherebyにもチャット画面はありますが、レッスン中に観たYouTube動画や音源は、レッスン前後にメールやLINEで送り、自宅練習に役立ててもらうことが多いです。
今は、生徒さんも講師も急にオンラインレッスンの対応を余儀なくされた方が多く、かゆいところすべてに手が届くツールはないといいきってもよいでしょう。
そのため、足りない部分や不便と感じる部分はメールなど従来のツールを組み合わせて対策していく必要があると考えています。