習い事を始めて2~3ヶ月、あるいは幼児のうちは、小さなキーボードでも充分ではあります。
しかし、小さい鍵盤や軽いタッチに慣れてしまうと、いざ本格始動!と思ってピアノを購入した時、重さや大きさのギャップに驚いて挫折してしまうことが多いのです。
ピアノを買い換えた途端「ピアノ嫌い」になってしまったという悲劇を避けるためには、レッスンを始めた段階で、購入するピアノについて計画しておく必要があります。
電子ピアノ?アップライト?グランドピアノ?
一般的に、ピアノを始めた時に手にする選択肢として挙がるのは、
・電子ピアノ
・アップライトピアノ
・グランドピアノ
のいずれかです。
グランドピアノは、サイズや防音といった諸問題を解決する必要があります。
ゆえに、現実的には電子ピアノか、アップライトピアノか?で悩むことが多いかと思います。
楽器レンタルは割高になるケースもある
気軽にピアノを設置できる楽器レンタルですが、長期間レンタルしていると、結果的に購入した方が割安になるケースも。
何ヶ月、何年めの段階で支払い続けるレンタル料金が購入した場合の費用を上回るのか、あらかじめ計算しておくことをおすすめします。
ピアノ選びは入手手段を選ぶこと
二択なら選ぶのは簡単と思われるかもしれません。
しかしながら、これを手にする手段は意外とたくさんあります。
すなわち、
【電子ピアノ】
・楽器店で新品を購入
・家電量販店で新品を購入
・フリマアプリで中古を購入
【アップライトピアノ】
・楽器店で新品を購入
・楽器店・展示会で中古を購入
・実家や知人から譲ってもらう
いずれも一長一短なので、それぞれの考え方にもっとも合っている手段を選ぶのが良いでしょう。
それぞれの手段についてメリットやデメリット、注意すべきことを、およその相場とともに書いていこうと思います。
電子ピアノの選び方、注意すべきこと
電子ピアノは、88鍵が揃っていて、タッチがしっかりとしているモデルを選びます。
練習に適した電子ピアノの相場は、20万円前後から販売されています。
ハイエンドモデルや最新機能のついた電子ピアノは新品アップライトと同じくらいの価格になることもあります。
販売されているのは、ヤマハや島村楽器といった楽器店、ビックカメラやヨドバシカメラといった大手家電量販店、フリマアプリも検索すると常時出品されているようです。
【新品電子ピアノ】楽器店で買う
楽器店で購入することのメリットは、最新の製品事情に詳しいスタッフが在籍していて納得した上で購入できること、ヘッドホンや楽譜といった付属品がサービスとしてプレゼントされる特典があること、の2点です。
教室によっては、講師の紹介特典でさらにお得になることもあります。
(私も、全国の島村楽器へ紹介可能な会員になっています)
デメリットは、近くに店舗がないと不便であること、接客されるのが苦手な場合は落ち着いて検討できないかもしれない、という2点です。
専門店は品揃えが豊富なので、購入するしないは別として一度は訪問して損はないのでは?と思います。
実際、生徒さんの中にも楽器店で説明を聞いて、別の方法で購入したご家庭もあります。
【新品電子ピアノ】家電量販店で買う
家電量販店で購入することのメリットは、店舗に行かなくてもネットでも注文できる、金額に応じてポイントがつくので割安感があるという2点です。
デメリットは、最新機種や人気機種しか販売されておらず選べるモデルが少ないこと、楽器の専門スタッフが在籍していないと練習に適しているモデルかどうかが分からないこと、の2点です。
楽器についてある程度知識がある場合は、お得に購入できるかもしれませんが、ピアノにあまり詳しくない場合は一度楽器店を参考程度に見学すると安心して買い物ができるかもしれません。
【中古電子ピアノ】フリマアプリで買う
フリマアプリでの楽器購入は、一人暮らしをする際に趣味で楽器を再開したい、保育士試験のために授業の間だけピアノが必要といった方以外にはおすすめできません。
電子ピアノは、厳密に言えば楽器ではなく電化製品です。
そのため、製造から10年経過したピアノは、何が起こるか分かりません。
出品者に悪意がなくても、使い始めた途端に故障するような状態になっている可能性もあります。
個人間取引はお得な買い物ができる一方でトラブルも多いので、安さで即決とならないように気をつけたいところです。
アップライトピアノの選び方、注意すべきこと
アップライトピアノは、メーカー(ブランド)によっても価格差や流通量の違いがあります。
響きも音色も一台一台異なるため、愛着のわくピアノを選ぶ楽しみも。電子ピアノのハイエンドモデルとさほど変わらない価格帯のものもあるので、「アップライトは高い」という先入観はひとまず脇へ置いて検討するのもおすすめです。
【新品アップライト】楽器店で買う
新品アップライトピアノは、ヤマハやカワイといった国産メーカーのピアノと、ベーゼンドルファー、ボストン、スタインウェイといった海外ブランドのピアノがあり、アップライトピアノの価格相場は80万円~150万円となっています。
ただし、スタインウェイと各ブランドのハイエンドモデルは別格です。特に、スタインウェイは在庫がほとんど出回らないこともあり、中古であっても相場の倍以上の価格で取引されています。
楽器店で購入するメリットは、電子ピアノとアップライトを一度に比較検討できること、この1点に尽きるでしょう。練習の際の防音対策など、ご近所への配慮についても相談できるのが魅力です。
電子ピアノ購入時と同様に、ヘッドホンや曲集はサービスでついてくることが多い上、初回の調律が割引になるキャンペーンなどが開催されることもあります。
また、実際に展示されているピアノに触れて、様々なモデルの音の違い、ブランドごとのこだわりを耳で確かめられるのも貴重な機会です。
購入するしないは別として、一度お店を訪れてはいかがでしょうか。
【中古アップライト】楽器店・展示会で買う
一般的な中古アップライトピアノの相場は、30万円~100万円ほどです。
コンディションの個体差が大きいため、実際に展示場へ赴くのをおすすめします。
巡り合わせによっては、新品ピアノよりも良い状態に仕上がったピアノと出会えるかもしれませんし、すでに廃番になってしまった優れたモデルに出会えることもあります。
(私は、とあるメーカーの若干サイズが大きいアップライトを所有しているのですが、すでにそのモデルは作られなくなってしまったようで、カタログに見当たりません。)
ただし、中古ピアノは表に現れない不具合を内包している可能性もあるので、そのデメリットを大きく感じるという方は、新品ピアノが無難かと思います。
具体的には、弦が錆びなどで切れやすくなっている、湿気の影響を受けやすい個体で響きが狂いやすい、といったことです。
もっとも、調律してメンテナンスをすれば新品と変わらずに弾けるモデルが大半なので、選択肢として検討したい方は、まず一度楽器店や展示会に足を運ぶことをおすすめします。
【中古アップライト】実家や知人から譲ってもらう
譲渡してもらう際にハッキリしておくべきなのは、「運送費用」です。
実家や知人宅のピアノを移動させて自宅に設置しようという場合は、楽器専門の引越し業者に依頼する必要があります。
買うより安いと思っても、条件(エレベーター有無、玄関運び出し可否)によっては意外と高額になってしまうケースもあり、さらに到着後の調律も必要なため、事前のお見積もりは必須です。
一般的な輸送費は、10km圏内で18,000円、40km圏内まで25,000円となっています。
これに調律費用がかかるため、近距離であってもおよそ50,000円が経費としてかかる計算になります。
親きょうだい、よほど親しい友人であればスムーズかもしれませんが、安請け合いをすると運送費や楽器の状態によってはトラブルに発展する可能性がありますので注意してください。
といっても、アップライトピアノは本来、丁寧に使えば親子三代にわたって美しい音色を楽しませてくれるもの。SDGs的にも、ピアノが受け継がれていくのは素敵なことですね。
グランドピアノの響きを特別な時に楽しめるように
電子ピアノでもアップライトピアノでも、「コレだ!」と納得して選び取るのが大切です。
自宅のピアノに愛着を持って接するからこそ、発表会やおさらい会、レンタルスタジオなどでグランドピアノに触れて、豊かな響きを楽しむ耳を育てることができるのではないでしょうか。