「ピアノレッスンって具体的には何をするの?」
「学年が上がったらレッスンはどう変わるの?」
今回の記事では、この疑問について当教室の方針をお伝えします。
幼児/小学生/中高生/大学生・大人
のカテゴリに分けて記載したので、気になるところだけでもご覧ください。
シニアピアノの思いがけない効果についても少し書いています。
幼児のレッスンは、発達段階に合わせて学ぶ
未就学児のレッスンは、リズム感や音感を育てる、音楽への好奇心を伸ばすといったことを最も重視しています。
4歳~5歳の生徒さんのレッスンを一例で挙げると、このようになります。
| 10分間 | 指の体操 | ・鍵盤の好きなところを押す ・指で紙をつまむ |
| 5分間 | うたの時間 | ・歌う ・リズムを口真似する |
| 10分間 | テキストの曲に取り組む | ・自宅で弾いた曲のおさらい ・新規の曲の予習 |
| 5分間 | 譜読みの復習 | ・ワークブックの使用 ・ホワイトボードとマグネットでチェック |
幼児は集中していられる時間が短いので、飽きないようにさまざまな取り組みを取り混ぜて好奇心を育てていく必要があります。
どの教室も、幼児のピアノレッスンは同じように進められていくことと思いますが、当教室ではこのメニューをする時に大切にしていることが2つあります。
それは、
・各メニューを1ステップ、2~3分単位にして取り混ぜていくこと
・瞬間の発達段階をとらえて最適化していくこと
です。
各メニューを入れ替わり立ち替わり行うと、少し目まぐるしく感じられます。
ですが、幼児の生徒さんは時間の感じ方が大人と異なるため、シャッフルするくらいでちょうど良いバランスになるようです。
「瞬間の発達段階をとらえる」、これは当教室が幼児期のレッスンで重視している要素です。
具体的には、お子さんの集中力が高まってきて「もっと弾きたい」と思った時にテキストの宿題を2曲に増やす、ピアノに飽きてきたらワークから派生したゲームをするなど、その日の様子に合わせて内容を調整しています。
演奏への興味が芽生えたタイミングで、自然に実技中心のレッスンへ移れるのは、個人レッスンならではの良さだと感じています。
小学1年生~3年生のレッスンは、家庭練習の土台を作る
小学生になると、少しずつ学校でも宿題が出されるようになり、勉強のための準備行動が身についてきます。
幼児~小学校低学年のうちは、自宅練習を保護者の方がリードする必要があるかと思いますが、当教室ではこのタイミングで少しずつ自走型の練習スタイルを身につけられるように工夫をしています。
どんどん練習できる生徒さんは、たとえ完成度が7~8割程度であってもその曲を合格とし、次に進めます。これによって一曲一曲のクオリティは高くなくても、楽譜を読む力がついてきて上達が見込めます。また、「練習すれば合格できる」という達成感が得やすいのも重要です。
自宅の練習がうまくいかない生徒さんには、やることをレッスン中に決めて書き込むタイプの練習シートを渡したり、練習カウンターをつける方法を教えたりします。
曲の仕上がりより、「練習の約束を守れたかどうか」を先に確認して、少しずつ信頼関係を築いていきます。
これらの進め方は時間こそかかりますが、少しずつ「親がつきっきりでないと練習できないので、ピアノがしんどいです」という状況から変わっていくのではないかと考えて実施しています。
小学4年~6年生は「楽しく学べるスタイル」を見つける時間
小学4年~6年生の期間は、必ずといっていいほど停滞する時期が訪れます。
どれだけ順調に進んでいても、どれだけピアノが好き!と言っていても、です。
このタイミングで「ぜんぜん、練習をしなくなってしまいました」、「ピアノが楽しくないと言い出したのですが、うちの子、レッスン中はちゃんとしていますか?」とご相談いただくことは少なくありません。
これは、ある種の「停滞期」のようなものです。
経験則では、スムーズに導入~初級と進んできた生徒さんほど、一時的にほとんど練習をしなくなることがあるように思います。
そのため、当教室では生徒さんに合わせて「楽しく学べるスタイル」を探すタイミングと位置づけています。
例として、Aさん、Bさん、Cさんを挙げてみましょう。
【Aさんのレッスン】
譜読みが早いので、練習曲に加えて自分の好きな教本(楽譜)を追加。
好きな曲は自宅で練習すると約束。練習曲は1段ずつ、2段ずつなど少しずつ取り組む。
【Bさんのレッスン】
左手の音読みが不安になってきたので、初見トレーニングを追加。
その分、テキストの宿題は少なくしてレッスンの復習をメインにした自宅練習に。
【Cさんのレッスン】
プチ反抗期?につき、テキストは無理に進めない。
その代わり、音階やリズムの書き方などを学んで「音楽理論」の初歩を学ぶ。
同じような年齢であっても、レッスンは多様に枝分かれしていくのが、このタイミングです。
大手教室は、カリキュラムに沿ってレッスンを進める決まりが設けられていることが多いですが、個人教室はご家庭と生徒さんに合わせた進め方ができます。
当教室では、生徒さんのできることや好きなことを否定せず、そこに基礎的な技術や知識をプラスできるように工夫しています。
中学生には「自分は音楽が好き?」を確かめるレッスン
中学生になると、音楽が好きな生徒さんは吹奏楽部に入ったり、地域の音楽活動に参加したりと、主体的な活動をするようになることがあります。
この場合は、「ブラームスって交響曲とピアノ曲、どっちも有名な曲があってすごいね」、「同じ曲をオーケストラver. とピアノver. と聴き比べてみよう。楽譜を見比べるとメロディがどのように動くか分かるね」など、より横断的な楽しみ方もできるようになります。
一方、「クラシックは分からないし、部活動でやるほど練習も好きじゃない。でもピアノを弾く時間は好き」という生徒さんもいます。
これは、小学生のうちは気づけなかった姿に、自分自身が気づく瞬間です。
学校の音楽の時間に頼りにされる、定期テストの勉強中に音楽だけは準備に時間をかけなくても高得点が取れる、など「音楽が得意な自分」を知ることは、その先の人生において重要なことだと当教室は考えます。
レッスンは、弾きたい曲集や中級レベル前後のピアノ名曲集をメインのテキストとして、ハノンなど「演奏のための基礎力」をつけるトレーニングを適宜取り入れる形をとっています。
ポップスでかっこいいアレンジを弾きたい場合は、ジャズハノンなどを取り入れることもあります。
高校生は「極める」か「楽しむ」かを選ぶ時期
高校生は、全世代の中で最もレッスンが多様化する世代かもしれません。
なぜなら、ピアノを入試で活用するために二人三脚で取り組むこともあれば、レッスン時間のほとんどを悩みや進路相談に充てることもあるからです。
高校生は、「友達と共有できる悩み」と「保護者と共有したい話」があり、それとは別に「適度な距離感を持っている第三者に話したい」という気持ちがあるようです。
アドバイスを求めているのではなく、アウトプットをして自分の気持ちを整理したいのではないでしょうか。
ピアノレッスンは、演奏がある種のアウトプットなので、話をするのと似ています。
大抵はたわいもない話ばかりです。
ですが、過去にはレッスンが大切な拠り所となったケースもあり、私も傾聴の基本を学ぶなどして誠実な対応をするように心がけています。
自宅と学校、塾以外のペルソナ(人格)を持つことで、変化の大きい16~18歳の時間を有意義に過ごせたという嬉しい声をいただいた時は、いつもホッとします。
こうしたケース以外に、ある作曲家に傾倒してその作家の曲を極める、音楽理論だけを集中して学ぶという生徒さんもいました。
また、DTMに興味をもって、曲の簡単なアレンジができるようになった生徒さんもいます。
高校生まで、ただなんとなくピアノを続けるのではなく、世代に最適な知的好奇心を満たす場にしたいというのが、当教室の基本的な方針です。
大学生~大人はライフスタイルにピアノを馴染ませるレッスン
大学生のピアノというと、音楽大学に進学した人だけがやるものというイメージかもしれません。
ですが、一般の大学にもピアノサークルがあったり、ピアノに向かう時間が好きだったり、色々な理由で月1回など来室される生徒さんはいます。
また、レッスンを卒業されても音楽でつながる友人として、ほんの時折ですがやり取りをする方もいらっしゃいます。
世間の荒波を乗りこなそうと奮闘している生徒さん、友人の姿を見ると背筋が伸びます。
大人になってからピアノを習いたいという生徒さんは、仕事をしている方、子育てや介護をしている方などバックグラウンドがさまざまです。
いずれのライフスタイルの方も、生活の中にピアノをいかに自然に取り入れるか、が長続きするコツのように見受けられます。
弾きたい曲のジャンルやピアノでやりたいことが明確でない場合も、なりたい姿のイメージからそこへ至る道まで、レッスンを通して少しずつ明らかにしていきます。
シニアピアノは、家族との時間を豊かにすることも
シニアピアノでは、「レッスンの日は、離れて暮らす息子から電話が来る」とおっしゃっていた生徒さんがいらっしゃいました。
「今日、ちゃんとピアノ行けた?」から始まって、数分で終わる短い電話だそうですが、「必ずかかってくるのよ。嫌になっちゃう」といいつつもその生徒さんは笑顔でした。
「孫と何を話したらいいかいつも困ってたけど、ピアノを始めてから会話が弾むわ~孫もピアノを習ってるの」とお話ししてくれた生徒さんもいらっしゃいます。
持病があり、指を動かすトレーニングとして通室していらっしゃった生徒さんは、「上手にならなくてごめんなさいね。でも現状維持が精一杯なの」とおっしゃっていましたが、懐かしいと話す童謡を数十曲弾けるようになりました。
ある世代にとって、現状維持は立派な前進といえるのかもしれません。
長く通うことが生きがい、目標とピアノレッスンを日々の励みにしてくださるのは、当教室にとっても嬉しいことです。
年齢はあくまで目安です。
レッスンの変化について、年齢で区切ってご紹介しましたが、これは一例です。
同じ学年でも、成長のスピードや興味は違います。
また、複数の習い事をしているか、ピアノだけをしているか、受験のタイミングはいつか、といった条件によってもレッスン内容は違いがあります。
そのため、当教室では、一人ひとりの歩幅に合わせてレッスン内容を調整しています。
年齢に応じてレッスンの内容は変わりますが、「音楽を好きでいてほしい」という思いは共通しています。
当教室では、「音楽って楽しい」、「こんな楽しみもあるんだ」と感じてもらえるよう、音楽の魅力をさまざまな方法でプレゼンしている気持ちで生徒さんと向き合っています。


