当教室では、2020年の全国一斉休校要請や在宅勤務の推奨をきっかけに、オンラインレッスンを始めました。
それから数年経ち、ICTの進化とともに、オンラインレッスンをどのように位置づけるか、改めて考える時期がきたように感じています。
そこで、「オンラインレッスンのセキュリティ対策」を中心とした記事を大幅改稿しました。
首都圏の住宅街にあるピアノ教室が、オンラインレッスンをどのように活用できるのか。実践を振り返りながら、考えてみます。
ピアノのオンラインレッスンとは
ピアノのオンラインレッスンといっても、その形はさまざまです。
マンツーマンレッスンのほか、視聴型のビデオレッスンや、グループレッスンを実施しているスクールもあります。
YAMAHAの「シンクルーム」のように、低遅延で遠隔地の演奏者をつなぐサービスも登場し、オンラインでできることは以前よりも格段に広がっています。
オンラインでできること
- 同じ楽譜を見ながら取り組む
- 弾きやすい指使いや、譜読みの答え合わせ
- 曲の表現や理解についてのディスカッション
通信速度が一定に保たれていれば、楽譜を画面共有しながら、譜読みや指使いを確認したり、表現について話し合ったりすることは十分可能です。
「ここが合っているか確認したい」、「曲の表現について方向性が知りたい」という目的なら、オンラインでも対応できます。
オンラインでは難しいこと
一方で、オンラインレッスンが苦手とすることもあります。
- 打鍵する時の力の使い方(脱力、フレーズを作る時の加減など)
- ピアニッシモなど弱い表現を細かく追求すること
- ペダルの踏み方で変わる残響など、ニュアンスの違いを擦り合わせること
こうした細やかな音色づくりや、身体の使い方の確認は、オンラインだけでは難しい部分があります。
曲のニュアンスを整えたい場合は、対面レッスンの方が適しています。
オンラインレッスン活用事例
オンラインレッスンが得意とすること、不得意なことを理解した上で、当教室が実際に行ってきたオンラインレッスンには、次のような事例があります。
送迎できない日の補助的なレッスンとして
ご家族が体調不良や在宅勤務で送迎ができない時は、対面レッスンからオンラインレッスンに切り替えることで、振替をせずに受講できます。
このレッスンの良いところは、普段は対面でレッスンをしているため、オンラインレッスンは「オンラインレッスンでできること」を集中して行えるところです。
その後の対面レッスンでオンラインでは足りなかった部分をフォローできるので、時間を有効に使うことができます。
引越し・進学の場面での継続
休校要請が落ち着いてから(日常が一部戻ってから)、実際にいくつか引き受けたのは、「引越したばかりで次の音楽教室を決めるまで、途切れずに音楽体験を続けたい」という要望に応えるかたちのオンラインレッスンでした。
いずれも、担当したのは1~2ヶ月でしたが、「以前の教室でやってきたことの復習」、「指の動きを忘れないような練習曲の提示」、「課題曲の宿題がない今だからこそ弾きたい趣味の曲のレッスン」などのメニューで、充実したレッスンを実施することができました。
ちょっと質問したい・再開前の下準備
当教室だけでなく、知人の演奏家もよく受けているのが「趣味で弾いているけれど、ここだけワンポイントアドバイスがほしい」という場合のレッスンです。
また、「ピアノレッスンを再開したいけれど、今更これも知らないの?と思われたくない」や、「オーディションの前に別の先生の意見を聞きたい/緊張する場を作って度胸試しをしたい」という場合も、1回から受けられるオンラインレッスンは便利です。
市川市菅野のピアノ教室としてどう使っているか
当教室は市川市菅野にあります。
学校が多く、古くからベッドタウンとして機能してきました。
2024年頃までは、通室できない時の代替手段としてオンラインレッスンを実施することもありましたが、最近ではその希望はあまりありません。
お休みの場合は別日に振替をして、対応しています。
ですが、オンラインレッスンは「完全に過去のもの」と位置づけるには惜しいというのが、個人的な感想です。
ショート動画などでワンポイントの演奏アドバイスを見る機会が増えた今、「分からないことを少し聞きたい」と言う需要には、オンラインレッスンも相性がよいのではないかと感じています。
現在、オンラインレッスンの利用は落ち着いていますが、必要になった場合の選択肢として、これからも残しておきたいと考えています。
オンラインだけで完結を目指さずリアルを重視する
オンラインレッスンは、対面レッスンと完全に置き換わるものではありません。
それでも、送迎が難しい時、引越し後の一時的な継続、再会前の相談など、「レッスンを続けるための選択肢」として役立つ場合があります。
これからも、音楽の専門的なノウハウだけでなく、コミュニケーションやICTなど、その時に使えるものを組み合わせながら、より良い形のレッスンを考えていきたいと思っています。




