「自宅練習ってどこまでサポートするべき?」
「ピアノのテキストって、合う・合わないがある?」
ピアノを始めて少し経つと、このような悩みが出てくることがあります。
実は、練習と教材選びは互いに密接な関係があります。
モチベーションを保ちやすくするレッスンと、おすすめ教材について解説します。
導入・初級・中級の基本的なピアノテキスト
導入期、初級~中級の教材選びについて、かんたんにまとめました。
取り入れやすい副教材についても紹介しています。
ピアノレッスン導入期の教材
代表的な導入教材には、「ピアノひけたよ!」、「バーナム」、「トンプソン」などがあります。
指番号や、「中央ハ音(ド)」を中心とした音符の読み方を学べるものが多く、併用できるワークもたくさんあります。
いずれのテキストも、収録されている曲は童謡が多く、「ピアノ曲を弾く前段階」が導入期にあたるといえます。
この時期は、たくさんの楽譜に触れて音を素早く、正確に読めるようにトレーニングすることが重要です。
ピアノレッスン初級レベルの教材
初級レベルにも、「オルガンピアノの本」や「ぴあのどりーむ」、「バスティン」など多くの教材があります。
これらのテキストの中には、練習曲だけでなく、クラシックの名曲を簡単にアレンジした曲や、子ども向けに書かれたピアノ曲も収録されています。
他に、「バスティン」や「メトードローズ」のように独自のメソッドとして確立された教本もあります。
初級レベルになると、これらの本の副教材として「小学生が弾きたいヒットソング」や「中学生が弾けたらかっこいいアニメ・映画のヒットソング集」などに取り組むこともあります。
ヒットソングにも、同じ音の連打やオクターブの連続する伴奏など、基礎的な演奏技術を身につける練習になる要素が含まれており、遊びながらそれらの技術を練習できます。
ピアノレッスン中級レベルの教材
中級という段階は、レベルの幅が広い段階です。
基礎を固める曲から、本格的な作品に挑戦する時期までが含まれます。
表現力を学ぶ教材には、「ブルクミュラー」や「ソナチネ」、技術を磨くテキストには「ツェルニー100番(後半)」、「ハノン」などを使うのが一般的です。
このレベルに達すると、クラシックの名曲集や、より原曲に近いアレンジのヒットソング集などを副教材として使用します。
技術と表現を学ぶテキストが必要
どの段階も、ピアノは技法(指遣いなどの基本的な技術)と、表現の2つを並行して学ぶ必要があります。
表現は「アーティキュレーション」といいます。
この部分は強く、この部分は弱くといったことだけでなく、「勇ましく」、「情熱的に」といった曲の性格を表現するのがアーティキュレーションです。
多くの教室は、技術を学ぶテキストと、表現や名曲を学ぶテキストを2~4冊併用してレッスンを進めていきます。
ここにワークブックが加わるケースもあります。
当教室でも、原則は2冊でレッスンを進めています。幼児期には手を動かして音楽に親しむため、ドリルをプラスすることがあります。
また、中級レベルになるとレッスンで使う教材の他に、好きな楽譜を用意してくる生徒さんも多いので、3冊体制で進めることがよくあります。
教材は『同じであって同じでない』
どの教材も無理なく基礎を身につけられるよう、作成されています。
しかし、生徒さんの性格やスタートした年齢によって適した教材はそれぞれ違います。
同じ教材を使用しても、同じように上達するとは限りません。
そのため、一人ひとりに合わせて適切な教材を見極めていくのが重要になります。
実例1. イラスト多めの教材は、ノイズにならないよう配慮する
導入期の教材には、カラフルなイラストが描かれたものもたくさんあります。
まだ文字が読めない幼児の生徒さんや、イラストから想像をふくらませて楽しく弾ける生徒さんには、このようなカラフルなテキストがおすすめです。
一方で、文字を読むことが喜びにつながる年齢の生徒さんや、カラフルな挿絵が却ってノイズになってしまう生徒さんには、イラストが少なく、落ち着いた色合いの教材を探しておすすめするようにしています。
実例2. マイペースな生徒さんには知っている曲が多い本を選ぶ
自分のペースで進めることを大切にしている生徒さんは、読譜(音符を読んで音を理解すること)がゆっくりというケースが多く、「読むだけで練習時間が長くなってしまう」という事態が起こりがちです。
こうした場合は、童謡などが多く収録されているテキストを提案するようにしています。
レッスンで一緒に歌ったり音をとったりすると、自宅での練習がスムーズになります。
また、知っている曲でも数をこなすことで、だんだんと読譜の正確性やスピードも高められていきます。
実例3. ピアノに向かう習慣が途切れたら「ハノン」を準備体操で使う
初級~中級の段階には、どれだけ楽しくレッスンしてきた生徒さんでも一時的に「練習嫌い」に陥るタイミングがあります。
そんな時は、同じ動きを繰り返す反復練習である「ハノン」を取り入れます。
無理に自宅で練習をしなくても、レッスンの最初に準備体操としてハノンに取り組むことで、練習をしなくてもある程度の技量を保つことができるからです。
「ハノン」で指を動かす習慣を取り戻すと、コードやポップスへも発展させやすくなります。
実例4. ポップスが好きならコードも取り入れる
ポップスなど「弾いてみたい曲はある。練習はあまり‥‥」という場合は、コードの基礎を学ぶプリントや実践(DTM)をピアノレッスンに取り入れることもあります。
最近のポップスで使われるコードは非常に難解なものがありますが、好きな曲で音楽の仕組みに触れることで、クラシックの和声(ハーモニー)にも興味が広がっていきます。
実例5. 難しすぎる教材は一旦止めることも
使用している教材が難しすぎると感じた場合、マンネリ化してきた場合は、一度止めることもあります。
ピアノレッスンは、教材を最後まで終わらせることが目的ではなく、その時期に必要な力を身につけることが目的だからです。
止めている間は、音楽理論を知るプリントを取り入れたり、1曲ずつ販売されている楽譜を使用したりします。
また、使っている教材をはじめからもう一度やり直す「ループ」も練習の習慣を再びつけるのに良い方法です。
はじめからもう一度やり直すと、「今はこんなに簡単に弾けるけど、以前は難しかったんだ。自分は上達したんだな」と振り返ることができて、いい気分転換になります。
教材でモチベーションを設計する
教材は、上達のためだけに選ぶのではありません。
音楽の楽しさを感じられる一冊に出会えるかどうかで、練習や取り組みの姿勢も変わっていきます。
生徒さんの年齢や性格、興味、生活リズムに合わせて調整することで、ピアノに向き合う気持ちがわいてきます。
当教室では、一人ひとりが長く音楽を楽しめるよう、教材選びもレッスンの大切な役割だと考えています。

